浮浪雲(はぐれぐも)工房は、1984年春三人の胎児性、幼児性水俣病患者含む五人で始めた紙漉きと機織の工房です。始めるに当たり紙漉きは、八代の宮田寛さん、福岡県八女の松尾茂幸さん、滋賀県大津の桑折司さん、織機は福岡県北九州の中本扶佐子さんから手ほどきをしていただきました。
1986年 一つの出会いが工房の方向性を決定付けました!
作家水上勉さんは「いい素材を使えば、いい物ができるのは当たり前、それは人間が勝手に決めているだけ。足元に捨てられている素材に魂を吹き込め。」
竹との出会いでした。
1988年紙漉きの諸先輩から「目的が如何なるものであるにせよ、伝統技術には裏付けがいる。勉強しろ。」と紹介されたのが高知県紙産業技術センターの大川照典さんでした。
紙漉きの理想と実践を学び、天然繊維の無限の可能性と美しさに魅せられてしまいました。
一緒に工房を始めた水俣病の患者たちは、当初2ヶ月しか続かないと言われましたが5年10年と仕事を続けた後、一人は亡くなり、残念ながら他の者たちも様々な事情により工房を後にしました。
しかし、肢体不自由だけでなく指先の感覚や臭覚にも障害を持つ彼らとの仕事は、
燃料は薪、煮熟に草木灰、石灰、ソーダなど弱いアルカリを使う事、漂白剤は使わず板干しにして紫外線を当て漂白するなど自然の力を最大限利用する仕事を身に付けさせてくれました。
その後私共の仕事は、各地の紙の開発、和紙の技術を用いて紙文化を持たない外国での活動と続いていきます。また、工房開設当初から作り続けてきた伯州綿は、草木染に適している貴重な在来のアジア綿である事が解り、新たな展開を見せています。
伝統的な工芸技術とエコロジーには相通じる部分が多々あります。
それは、工芸が自然環境と共生しながら暮らしてきた日本人の知恵だからです。
物は時代とともに変わっていきますが、技術や哲学は変わらないものだと思います。
【素材】楮、梶、三椏、雁皮、大麻、竹、葦、イグサ、葛根、杉皮、玉葱の皮、綿、その他
【サイズ】(紙)名刺、葉書から二尺三尺版、1m×1,8m までと立体紙。特注最大サイズ4,5m×7,5m(布)綿布
【その他】自然志向の紙、草木染め、織物についてはどのようなご相談でもお受けします。
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1959年 | 静岡県沼津市生まれ |
1983年 | 上智大学理工学部卒、同時にJYVA一年間派遣ボランティアとして水俣へ |
1984年 | 熊本・宮地和紙の宮田寛氏、福岡・八女和紙の松尾成幸氏に手ほどきを受け、作家石牟礼道子氏の勧めで紙漉きを始める。水俣浮浪雲工房主宰し、胎児性水俣病患者らと紙漉きを続ける。作家、故水上勉氏、高知県立紙産業技術センターの大川昭典研究員と出会い大きな影響を受ける。 |
1991年 | 第5回世界竹会議竹と竹紙のオブジュ製作 |
1993年 | イグサ(八代市)の製紙原料化に成功(特許) |
1994年 | 立体紙の考案 |
1995年 | インドネシア、バリ島での竹紙ワークショップ。 ドイツ、ハノーバーで和紙ワークショップ |
1996年 | デザイナー×地場産業展にミラノのプロダクトデザイン会社ETZOOと参加 |
1997年 | ハンドボール世界選手権熊本大会表彰状作成 |
1998年 | 葦紙(新潟県豊栄市)の開発、製作指導 |
1999年 | 国体熊本県大会表彰状作成、天皇皇后杯他を担当する。 |
2000年 | マレーシア科学技術大学で紙漉きのデモンストレーション(国際交流基金)、 サラワクの少数民族ルンバワン族との森林保護を目的に、紙、染色のワークショップ(NGO:Society of Atelier Sarawak) ブラジル、アマゾンでのワークショップ(NGO:POEMAR,JBN) |
2001年 | 環境と貧困をテーマにした「アマゾンの天然繊維を利用とした住民の生活向上プロジェクト」にJICA技術専門家としてアマゾンに派遣される。以降、草の根技術協力事業として2008年まで継続 |
2002年 | 杉皮紙(宮崎県諸塚村)の試作 かみいぐさアイビーウォールとなる無廃棄物イグサパルプの開発(特許) |
2003年 | 大分県竹田市に竹紙の技術移植、色落ち海苔の製紙原料化研究。 |
2004年 | 九州大学大学院言語文化研究所、非常勤講師となる。 水俣市国際交流協会副会長となる。NPO【植物資源の力】立ち上げ、設立準備室長から常任理事となる。JICA草の根協力事業でブラジル、アマゾンへ。 |
2006年 | 廃棄イグサを活用したゼロエミッション高機能壁紙「かみいぐさ アイビーウォール」で第二回ものづくり日本大賞優秀賞受賞 。 熊本県伝統工芸館の助成でウズベキスタン、サマルカンドを訪問。 水俣市袋中学校PTA会長となる。 |
2008年 | JICA草の根協力事業で、ウズベキスタンのサマルカンドペーパー復元復興事業KoniGHilMerosに派遣。 |
2009年 | 工房を個人事業から株式会社に移行する。 熊本県廃棄物対策課リサイクル等推進事業、南九州明光販売(株)のサポートを受けて、「セルフリサイクルのためのミニュチュア抄紙機の開発」。 全国中小企業団体中央会ものづくり支援事業で「(かみいぐさアイビーウォールの実証事業」が採択される。 「乾式イグサ処理技術開発」で水俣市ものづくり補助事業に採択される。 かみいぐさアイビーウォール熊本県新事業支援調達制度認定商品となる。 |
2010年 | 経済産業省「地域地原活用事業」認定を受ける。 「セルフリサイクルのためのミニュチュア抄紙機の改良事業」が水俣芦北環境技術開発研究助成事業に採択される。 JICA草の根支援事業「伝統的サマルカンドペーパーの復元等手工芸復興とKoniGhil村振興プロジェクト」開始、プロジェクトマネージャーとなる。 熊本県伝統工芸師として指定される。 |
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熊本県水俣市袋42
TEL.0966-63-4140
FAX.0966-63-4140